2021年04月18日
旅の出会い(一期一会)
国道58号おんな道の駅付近
旅の原点は徒歩の旅だと信じている
塩ちゃんは、歩く度にその思いに
確信を強くする。
自分の住む土地から他所の土地に
移動して帰ってくることが旅だとしたら
それこそ旅の目的はごまんとあるので
旅の種類も千差万別である。
一人旅もあれば家族旅行、修学旅行
研修旅行、旅行会社が主催する募集旅行など
旅の種類を挙げれば限りがない。
期間も日帰りから始まり
人によっては何年も旅に出ている者もいる。
旅の概念が、いつの時代から定着したのか
定かではないが、そんなことを考えていると
「可愛い子には旅をさせよ」との諺に
辿り着くことがある。
塩ちゃんの徒歩の旅は、ほとんどが
距離を設定してただひたすらに歩き
早く目的地に到着することが
ほとんどである。
今回の国道58号ぶっ通し歩く作戦も
全長121.7キロメートル時速5キロで
歩いたとしても単純計算で24時間で
完歩できるが塩ちゃんの徒歩の旅は
時速4キロから4.5キロなので
1日では、流石の塩ちゃんでも
言葉にしたくないが不可能なのである。
この日の沖縄本島国道58号徒歩の旅も
塩ちゃんは、ただひたすらに先を
目指して歩いているがたまに
脇道に逸れたりすることもある。
そうやって自分で旅のコーディネート
する事も塩ちゃんにとってはささやかな
旅の醍醐味でもある。
恩納村多幸山から山田に抜けて行くと
沖縄の青い海と青い空のコントラストが
眼下に広がりその風景に心が奪われる
瞬間がある。
この場所は、国道58号を北上する際の
極上のドライブスポットだと沖縄県民の
塩ちゃんおすすめの場所でもある。
この日もラマダルネッサンスホテルから
おんな道の駅までの海岸線を歩いていると
見慣れた風景にも関わらず塩ちゃんの
心はその風景の虜になっていた。
歩いていると仲泊の集落に入る道に
信号があり国道58号は真っ直ぐ
進まなければいけないのだが、
塩ちゃんは、迷わず左折して
防波堤沿いを歩き始めた。
砂浜では、二組のファミリーの
子供たちの声が塩ちゃんの耳に
侵入して穏やかな気分を味わっていると
波際にしゃがんで水に触れている
真っ白な服装をした
若い女性が佇んでいた。
その女性の姿に一目惚れをした
塩ちゃんは、写真を撮るべきか
悩みながら歩いていると砂浜にしゃがんでいた
若い女性は立ち上がり防波堤の向かって
歩き出したのでスマホをポケットに収めた。
塩ちゃんも前に進みながら歩いていると
若い女性が防波堤に近づいてきたので
塩ちゃんは、思い切って会釈をして
声をかけた。
友人たちに人見知りの強い性格だと
言っても信じてもらえないが、
この日は、思い切って声もかけてみた。
「こんにちは
観光ですか？」「その真っ白なファッションと波打ち際で
佇む姿があまりにも素敵で写真を撮ろうと
思ったのですが？」
と口に出すと若い女性はしばらく立ち話を
続けてくれた。
塩ちゃんの出立ちを見た彼女の方からも
いくつか質問をしてきた。
「その格好でどこまで歩くのですか？」
と聞かれた塩ちゃんは思わず饒舌になった。
すると若い女性は、自分から
「一緒に写真を撮っても良いですか？」
塩ちゃんを幸せな気分にしてくれた。
彼女のスマホで写真を撮った後
「私も良いですか？」と了解をとり
スマホで自撮りをした。
「SNSにアップして良いですか？」
と確認すると快く返事をしてくれた。
せっかくなのでSNSにはアップしないので
マスクを外した写真もお願いすると
一瞬戸惑っていたがマスクを外して
ポーズをとってくれた。
もっと会話を楽しみたかったが
「先を急いでいるので」と塩ちゃんは
自分から言葉を出し別れることにして
「ありがとう楽しかったです」と続けた
別れ際に、「戻ったら大学ですか？」
と聞くと満面な笑顔で
「普通に30代の社会人です」
と答えてくれた。
背中を向けてそれぞれ逆の方向に
足を進めながら振り返ると彼女も
振り返って手を振ってくれた。
脇道に逸れて歩くことができても
人生は脇道に逸れてはいけないとか
塩ちゃんはそんな事も考えながら
せめてLINEの交換でもしとけば
良かったと57歳になってもバカな事を
思いつく一人の男になっている
自分を笑いながら足を進めた。
徒歩の旅は、目に風景と
心の風景が楽しめる一人芝居のような
一面があるんだよなぁ・・・・
だから徒歩の旅は面白く楽しい
約束通りアップ写真はマスク姿だけ
