「離」2023年一文字

しおちゃん

2023年12月27日 17:50


大東海運の船で見た朝陽

今年を振り返って
 「離」
 
 2023年7月24日しおちゃんは、
心身ともに健康で還暦の誕生日を迎えられた。
 
 しおちゃんは、高校を卒業して
18歳で宮古島を離れた。
 
 日本の首都東京から遠く離れた
沖縄県は九州にも属しない九州沖縄地方と
呼ばれ沖縄本島自体が日本本土と離れた
離島の島なのである。
 
 しおちゃんは、那覇市で生まれ
石垣島でも生活した事があり高校を
卒業したのが宮古島なので「宮古島の人」
と呼ばれているが、故郷は宮古島・石垣島・
那覇市を含めて沖縄が故郷だと認識している。
 
 そう意味でも宮古島は出身地であってイコール
故郷とは考えていない。
 
 11月に小学2年生まで通っていた同級生に
招待され還暦同会に出席した。
 
 親の都合で離島の石垣島から浦添小学校に転校して
二年生の三学期だけ通い小学三年生の新学期から
首里の城東小学校に二学期まで年が明けた三学期から
宮古島の平一小学校に転校した。
 
 わずか一年の間にしおちゃんは仲良しの友達と
離れ離れになった。
 
 離れた友達と会いたくても離島の宮古島からは、
同じ沖縄県とは言え簡単に連絡も取れず何度か
手紙を書いたけど何故か戻ってきた。
 
 親に相談する事も出来ずしおちゃんは
いつの間にか手紙を書かなくなった。
 届かなかった手紙を大事に机の引き出しに
閉まっていたが、その手紙が親に見つかったので
読まれるのが嫌で自分で処分した記憶が残っている。
 
 宮古島の子供たちはこれまでの同級生と違って
野性的と言うか活発と言うか当時のしおちゃんは
全てがこれまでに感じた事にないカルチャーショックを
受けていたが、その気持ちを口に出せるようになったのが
50歳を過ぎてからだった。
 
 社会人としての仕事人生も沖縄が基盤で
沖縄県民として働いているが、常に宮古の人はと
言われることが多い別に他の地域も同様に
やんばるの人はとか糸満とか久米島とかの表現は
あるが宮古の人は良くも悪くも話題になる事が多い・
 
 前職の会議の中でも何故か「宮古の人は」とか
出ることがあっても東京の人とか関西の人とか
行ったような表現はなく東京のお客様とか
北海道のお客さとかの表現になる。
 
 宮古の人はある意味中国人とかアメリカ人とかと
一緒だとしおちゃんは理解している。
 
 沖縄は離島が多くありそれぞれ距離が
近いか遠いかそれぞれの距離感がある。
 
 実際の距離と肌感覚の違いがあり
例えば久米島は交通アクセスの問題で
宮古島石垣島と比較して近くて遠い島と
言われている。
 
 久米島島民は島民離島割引で航空運賃の
恩恵はあるが沖縄本島からの出張や観光客の
移動料金は那覇~福岡とあまり変わらないので
久米島観光のネックとなっている。
 
 離島であるが為に物価も沖縄本島に比べて
高料金になっているのが、沖縄本島以外の
問題となっている。
 
 2923年還暦を迎えたしおちゃんは、
北大東に3年から5年ぐらいのプチ移住を
製糖工場で働いたが年齢がネックになり
その夢を断念した。
 
 面接の際に年齢を聞かれ60歳定年制なので
正社員は無理だけど契約社員でもよろしいですか
と聞かれそのつもりで現地に行ったのだけど
製糖期間が終了するとその約束が反故にされたので
プチ移住は断念した。
 
 それでも現地の友人が別の会社を紹介してくれたが
年老いた母親の事を考え諦めることにした。

 プチ移住断念の一番の要因は
北大東から那覇に戻り行きつけの
歯科医院で歯の状態を確認してもらい
安心していたが、その日の夜
神戸の大学に進学する息子の送別会を
親子で外食をしていると奥歯の詰めが
外れてしまった事だった。
 
 妻は、しおちゃんの計画に賛成していて
行く気満々で色々構想を練っていたので
大変申し訳ない気持になった。
 
 北大東島は、沖縄本島から400キロ離れた
最東端の絶海の離れ島でこの島に行政が誕生したのも
アメリカ統治下の1946年でそれまではこの地域は
学校も病院などすべての施設を民間企業が管理しており
通貨もこの島でしか使用する事の出来ないお金まで
発行していた。
 
 南大東製糖工場の煙突や島の中心地にある建物には
「さとうきびは島を守り島は国境を守る」
とあり
北大東小中学校の運動場の脇には
「島に誇りを心に夢を」
と書いた石碑がある。
 
 「15の春」と呼ばれるこの離島は
中学を卒業すると全員が沖縄本島の高校に
進学するので親子が離れ離れになる。
 
 子離れ親離れの体験も他の地域に比べて
早いけど心の繋がりと言うか絆の深さを
強く感じる
 
 百獣の王ライオンは
成長した我が子を千尋の谷に突き落とし
這い上がってくるのを待つと言われている。
 
 南北大東島の子供たちは、島から離れて
親兄弟とも離れて距離は遠くなるが
心の距離はいつもそばにある。
 
今年の一文字「離」②に続く
 

関連記事